細菌性肺炎

細菌性肺炎について

肺炎は“風邪をこじらせる”程度でもなり得るありふれた疾患です。
しかし、日本人の死亡原因として第三位にランクインしており(平成23年データより)、致命的となることもあります。肺炎が気管支炎にとどまるか、広範囲に広がるかは、菌の毒力と患者さんの抵抗力のバランスで決まります。

肺炎の死亡率はとくに高齢者で高く、75歳を過ぎると急激に増加します。
加齢に伴う唾液分泌量の低下や、口腔・咽頭分泌物のくり返される誤嚥が肺炎を引き起こします(誤嚥性肺炎についての項目をご参照ください)。

細菌性肺炎において、原因菌の決定とどの抗菌薬が効くのかを調べるには培養が必要です。しかし検査のために治療開始を遅らせることはできないので、菌を同定せずに治療を開始することも稀ではありません。

肺炎の病態と原因微生物は極めて多様で、抗菌薬にも多くの種類があるため、臨床現場での対応は医療者や医療施設によって異なるのが現状です。

これに対して、我が国の現状に沿った治療指針として、市中肺炎(2007年)、院内肺炎(2008年)、医療・介護関連肺炎(2011年)のガイドラインを公表し、各施設ではガイドラインに従って治療方針を決めています。

細菌性肺炎の原因

細菌性肺炎の原因の多くは、口や鼻の奥、のどなどにいる「一般細菌」で、この他には他の保菌者(動物のこともある)や環境中の病原体を空気と共に吸い込んで起こします。

ウイルスによるかぜやインフルエンザにより障害された気管支や肺の粘膜に細菌が落下・付着して起こることもあります。

細菌性肺炎の症状

症状は、せきやたん、発熱が見られることが多いのですが、誤嚥による肺炎などではこれらの症状がはっきりしないこともあります。

倦怠感、食欲不振、胸痛等も起こります。
特に老人では肺炎の症状が軽いことがあるので発熱、呼吸数増加、頻脈に注意が必要です。食欲低下、不活発、会話をしないなども肺炎を疑う症状です。

細菌性肺炎の検査

診断は、呼吸器科や内科で診察を受け、胸部エックス線画像や血液検査で行うことができます。

細菌性肺炎の治療

治療は、軽い場合には飲み薬や注射の抗菌薬による1~2週間の治療で改善しますが、慢性の病気があったり、受診が遅れた場合には重症化して生命に危険が及ぶこともあります。早期受診すると共に、予防には普段のうがいや健康管理が大切です。

また、インフルエンザワクチンや肺炎の原因菌で一番多い肺炎球菌に対する肺炎球菌ワクチンの接種により感染をゼロにすることはできないまでも、予防とともに感染した場合の重症化を防ぐことができます。

かかりつけの医師へのご相談をお薦めします。

日本人の死亡原因の第4位は肺炎です。肺炎で死亡する人の94%は75歳以上であり、90歳以上では死亡原因の2位に順位があがります。

誤嚥とは

食べ物や飲みものを飲み込む動作を「嚥下(えんげ)」、この動作が正しく働かないことを「嚥下障害」といいます。食べ物や飲み物、胃液などが誤って気管や気管支内にはいることを「誤嚥」といいます。

誤嚥性肺炎とは

誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎です。

高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関係していると言われています。再発を繰り返す特徴があり、それにより耐性菌が発生し、抗菌薬治療に抵抗性をもつことがあります。そのため優れた抗菌薬治療が開発されている現在でも治療困難なことが多く、高齢者の死亡原因となっています。

誤嚥性肺炎のおこる理由

(1)口腔や咽頭内容物による誤嚥、(2)胃逆流物による誤嚥があげられます。

老化に伴って起きる生理的な変化や脳血管障害や神経系疾患では神経伝達物質(サブスタンスP)の減少で咳反射や嚥下反射の機能低下によりおこります。

嚥下反射の低下により知らない間に細菌が唾液と共に肺に流れ込み(不顕性誤嚥)、肺の中で細菌が増殖して肺炎を引き起こします。嘔吐などによる胃液が食べ物と共に食道を逆流しておこることもあります。

誤嚥性肺炎の症状

発熱、せき、喀痰など通常の症状を訴えないことも多く、なんとなく元気がない、倦怠感を訴えることもあります。食事中のむせこみ、常に喉がゴロゴロ鳴っている、唾液が飲み込めない、食事に時間がかかる、たんが汚いなども疑わしい症状です。

また、酸素低下をきたし、重症の呼吸不全になることもあります。

誤嚥性肺炎の治療

誤嚥性肺炎を起こす細菌の多くは嫌気性菌(酸素のないところで発育する菌)です。肺炎の原因となる細菌を殺す抗菌薬で治療を行います。

誤嚥性肺炎の予防

(1)飲食の意識付けや誤嚥予防の体位保持(食後すぐに横にならないで、2時間程度座位を保つ)

(2)口腔ケア(口の中の雑菌を減らす、嚥下反射を改善させる)

(3)咳反射を亢進させる降圧剤であるACE阻害薬による嚥下障害の改善

(4)胃瘻増設、気管食道剥離術(適応は厳格に検討)などがあります。

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